「サッカー日本代表、べネゼエラに無得点ドロー」キリンチャレンジカップべネゼエラ戦 監督、選手コメント
「W杯イヤーの国内初戦では初の無得点に」
1月のアジア杯予選イエメン戦に続き、W杯イヤー国内初戦となったキリンチャレンジカップ(大分・九州石油ドーム、観衆2万7009人)べネゼエラ(FIFAランキング50位)戦に、日本は、ドイツW杯以来3年半ぶりに代表に復帰した小笠原満男(鹿島)が先発、稲本潤一(川崎)、遠藤保仁(G大阪)のW杯経験者と中村憲剛(川崎)が組む厚い中盤で臨んだ。日本は立ち上がりから、中盤を中心にていねいにボールを動かしながらべネゼエラの出方を見たが、南アW杯出場を逃がした後、若手を加え新しく準備したというベネズエラ代表の前線からの速いプレスに苦しみ、フィニッシュにまで持ち込むことができない。16分、小笠原が右足でミドルシュートを放ったが、前半は枠内はこの1本のみ、サイドからのボールも上がらないまま0-0で終った。
後半も前半と同じメンバーで試合を始めたが、中盤とFW陣の距離があいてしまい、これによって、大久保嘉人(神戸)、岡崎慎司(清水)もボールを受けに下がったしまうために、実質はFWが不在の「ノートップ」的に。ここで、イエメン戦でハットトリックをあげた平山相太(FC東京)を投入。これで前線にボールが収まり、攻撃が動き出す。しかし、サイドからのボールにバリエーションがなく、べネゼエラの守備を崩すことができない。結びつかない。終盤、佐藤寿人(広島)らで交代カードを切るが、最後までベネズエラの固いセンターを崩すことはできずに、スコアレスドローに終わった。
岡田監督は試合後、「新戦力を試すこともできた」と、オプションが増えたことに手ごたえを口にし、小笠原について「落ち着いている。コンセプトを考えてプレーをしてくれた」と称賛し、平山には「自分が思っていた以上に溶け込んでいた。ゴール前の迫力がある」とイエメン戦でのハットトリックをアピールした格好となった。
一方、W杯イヤーではこれまで過去3回、国内初戦はすべてゴールを奪って勝利してきただけに、早い時期の国内初戦とはいえ、スコアレスでのドローに、いつもは試合後記者の囲みで感想を話すサッカー協会・犬飼会長も「言うことないよ、あの試合は」と、初めてノーコメントでスタジアムを去った。代表は3日、移動し千葉県内で合宿を行い、6日開幕の東アジア選手権に備える。メンバーは26人から23人に絞られる。
「必須科目から、選択科目へ」
岡田監督 最初のゲームということで、ゲーム感覚を戻すこと、またここまで、大学でいえば必須科目をやってきてこれが全員がやらなくちゃいけないが、それだけやっていればいいのではなくてここからは一般科目というか、選択科目というか、試合の中での各自の応用力を出して成長していきたい。後半になって感覚的にもなれてきて、これでいい形で東アジアにいける。本当にいい試合ができた。新しい選手も試せたし、勝てなくて残念だがこの試合には満足している。(新戦力について)
犬飼基昭会長 言うことないよ、あの試合は。
「自己評価は難しいっす」
平山 監督からは自分の持ち味を出すように、それと守備の解きのポジショニングをしっかり取れと言われていた。自分の持ち味は出せたと思う。もっとコミニケーションを取れればいい。自己評価はちょっと難しいっすね。中盤には動きを見てもらっているが、まだちょっと合わなかったところがある。クロスは多くあがっているのでそれを決められることが課題になる。(サポーターに)結果を出して答えたい。代表として、どんな試合でも責任があると実感できた。
「意識と練習と努力」
小笠原 できたプレーもあるが、引き出すプレーなどはまだまだできていなかった。中盤で簡単にボールを取られてはいけないし、サイドを作って逆サイドに開いたり、そういう攻撃をしていかないといけない。(守備も良かったが)潰すだけじゃなくて、奪い切ってそこから攻撃に行きたいと思う。自分には先が(アジア杯からW杯へ)あるのか分からないし偉そうなことはいえないが、東アジアはタイトルをかけた試合なんで勝たねばならない。(これから大切なのは)意識と練習と努力だ。
「難しいゲーム」
大久保 相手のプレッシャーが非常に速く、ボールを持ってからの攻撃の形がなかなか作れなかった。中盤の力があるのでどうしても中へ、中へ縦に行く傾向があるが、外に開いてからでないと、ヴァイタルエリアにはいい形で杯って行くことができなかった。前半は特に難しいゲームになってしまった。後半に入って、自分がサイドに上がって張っていることで崩せる場面も多くなり、動きもよくはなったと思う。2タッチ、3タッチでまわすテンポはよかったが、緩急をつけないとリズムは生まれない。リスクを負う必要があった。個人的には、体力的に十分な手ごたえは感じた。準優勝ばかりの東アジア、今度こそ優勝したい。
「もの足りない」
岡崎 合宿からやってきたことを考えるともの足りない。ただコンディションは初戦にしてはいいと思った。このまま調子をあげていって試合をこなしていければいい。(小笠原はの加入は)いつも見ていてくれるし、裏を走ればボールがでてくる。いいボールをゴールにつなげなければならない。シュート、ヘディング、飛び込むのか、それぞれの状況で、チャンスは1本もないかもしれない。W杯を考えれば、それだけ少ないチャンスに1本を決められるか、こういう試合から意識しないといけない。べネゼエラはビデオで見ていたが、ちょっと予想とは違っていて、もっと早い位置からのプレスで戸惑ってしまった。自分たちのコンセプトはできても、目の前に相手がいて、それを崩せるか、と改めて感じた。
コラム 「テンポはあってもリズムがない」
岡田監督は「とてもいい試合だった。満足している」と言ったが、気温6度、夜の厳しい冷え込みの中ドームに集まったサポーターに、W杯イヤーの高揚感から新しく生まれる「リピーター」は恐らく出ないだろう。プロ野球、相撲、ゴルフと連日先に報道され、試合前日だというのに報じられなかったチャンネルも出てきたスポーツニュースの中で、彼らに代わってトップで、大きく扱われるかもしれない期待感も沸かないだろうし、「ベスト4」の夢を一緒に見ようという気持ちも起きないはずだ。
ゴールがなかったからだ。
日本代表が、悲願のW杯に出場を決めた98年フランス大会から12年、98年の初戦はアデレードでの豪州との親善試合3-0でスタートした。国内初戦は韓国とのダイナスティカップでこれも2-0で勝利した。トルシエ監督の02年初戦は3月と遅かったがウクライナ相手に1-0で勝ち、06年ジーコ監督の初戦は2月10日、米国での合宿を経てアウェー戦(サンフランシスコ)に敗れたが、それでも2点を奪った(2-3)。国内初戦はキリンチャレンジでフィンランドを2-0と完封している。過去三大会、国内初戦は全て勝利し、しかも全てで、W杯への意気込みを、どんな形であれ多くの人々の前でゴールに込めたことを思うと、べネゼエラ戦、どんなに泥臭くても、たとえラッキーゴールであっても、勝ち負け以上に「ゴール」が生まれなかったことが、「消化不良」の原因だと思う。
ピッチのどこにも、ドキドキするようなものがなかった。「リスク」がなかった。選手も分かっている。
中盤にキープ力とテクニックのある選手が集まったためにボールが縦に集中してしまい、このことで相手の守備がシンプルで固くなってしまった。ハーフタイムと途中、サイドでボールを引き出そうと張った大久保は「テンポがあってリズムがない」と評し、最多の3本のシュートを打った岡崎は「コンセプトはあっても、目前の敵を崩さなくては」と口にした。平山、佐藤寿人もシュート1本。4年に一度のW杯の年、ましてベスト4を狙うのだと口にするチームなら、無難な引き分けよりも、多少、まとまりなんかなくたって激しい打ち合いで始まって欲しかった。昨年の言葉だが、どこか「草食系」的なゲームである。別に、肉食がいいというわけではないが。また、試合内容同様、岡田監督の試合後のコメントも、物足りなかった。
「べネゼエラが非常にいいサッカーをしてくれたことに感謝したい」とは、敬意のつもりでの発言だろうが、相手は南米の百戦錬磨の国であり、例えば千葉の練習試合で代表の相手を務める大学生に「よくやってくれた」というようなレベルではない。「非常にいい準備で素晴らしいサッカーをしてくれた」なんて、相手を下に見る言い方に聞こえる。試合についても「(相手のプレスを打開できずに)どうするかな、と思ってずっと黙って我慢して見ていたが、なかなかできなかった」とか「ハーフで、ひとつのヒントとして、オレならこうするよ、と指示を与えた」とか、こちらも、監督自身が「必須科目」から「選択科目」に移行する大学生に代表を例えるなら、まるで卒論のアドバイスをする教授のようなコメントだった。
6日から始まる東アジア杯にどう切り替えるか、3日午後にも移動しての練習がスタートする。






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