「吉井が初日総合2位に、男子長島も3位につける」バンクーバー五輪前哨戦、スピード世界スプリント
16日=帯広・明治北海道十勝オーバル スピードスケートの世界スプリント選手権が始まり(17日まで)、女子では、吉井小百合(25=日本電産サンキョー、写真)が千㍍で1分17秒26の1位、五百㍍は38秒74の3位とし、77・370点で初日の総合2位と好位置につけた。女子は、五百㍍ではバンクーバーで「メダル3強」と目される李相花(韓国)が38秒19で五百㍍77・080点で総合トップに立ち、小平奈緒(相沢病院)は千㍍3位、五百㍍4位の77・570点で総合4位につけ、新谷志保美(竹村製作所)は総合7位、岡崎朋美(富士急)は10位だった。
また男子は、長島圭一郎(日本電産サンキョー)が五百㍍で35秒01の1位に、千㍍は9位に終ったが、初日の総合は3位と総合金メダルに可能性を見せた。小原唯志(日本電産サンキョー)は35秒44で6位、千㍍は14位で総合10位だった。
大会は最終日の17日も500メートルと1000メートルを1回ずつ滑り、4レースの総合で優勝を争う。バンクーバー五輪の前哨戦とされるが、男女の前回総合優勝者、シャニー・デービス(米国)と王北星(中国)をはじめ、北米を中心に外国の強豪は欠場している。そんな中で日本選手たちの五輪本番を占う上で注目される。17日は続いて、五百、千メートルが行われ総合順位が決定する。
「あと1ヶ月は、もう、なのか、まだ、なのか」
男女とも、前回のスプリント覇者が出場しておらず、また今季のランキングでも上位者が欠場している。しかし、選手はそれぞれが心の中にテーマを置いて「五輪前哨戦」を戦ったようだ。女子五百㍍で3位、千㍍でも1位と絶好のポジションにつけた吉井は「表彰台」をキーワードにしていた。五百では「表彰台に立てたことで気持ちも前向きに変わってくると思う」とほっとした様子で、千㍍での首位には「予定通りといえば予定通りですが、(驚きで)うれしい、といえばうれしい」と、ようやく笑顔を見せた。前回、初出場したトリノでは、直前までコンディションを重視しながら大会に入り、結果的にはピークを逸してしまい五百で9位、千でも15位と、力を発揮できずに終ってしまっている。自身も、このことについて、「前回のことがあるので」と、疲労を溜めず体力を落とさないことを主眼にしているという。
前回、「がんばります」と繰り返していた「自己分析」も際立った。この日も、「(五百の3強といわれるドイツ)ウォルフも時差があるし、この0コンマの何秒かの中に、本番ではあと何人もの選手が食い込んでくる。まだ時間があるので、いいイメージに近づき、それを持続させるようにしたい」と、ピークもゆっくりとつくっていることをうかがわせる。
初日、ミックスゾーンで話を聞きながら、五輪までの話しに「もう1ヶ月を切っている」とコメントする選手、「まだ1ヶ月あるんで」と話す選手、2つに分かれていることに気がつく。「もう」とする選手は課題を多くあげて、忘れ物チェックリストをマークしていくようで、「まだ」とする選手は、課題のいくつかをあえて残し、それを消化すること自体を楽しんでいるようにも見えた。岡崎朋美は「まだ時間がありますし、もう歳なんで、多くは望めないんです」と大笑いしながら、「その代わりピークはビシッと」と、レースまでのバイオリズムを正確に把握した様子だった。
男子でメダルが期待される長島は年末に靴を替え、その中でいい感覚を維持していることに手ごたえがある話す。五百㍍はフライングと、「セルフジャッジ」に笑いながら、1位は予定通りとも自信を見せた。
「久しぶりに表彰台のてっぺんに上がって(世界スプリントで)本当に気持ちが良かった」と、てっぺんからの景色をイメージしていた。バンクーバーは2月12日始まるのではなくて、もうとっくにスタートしているのだろう。
「ライバルは、ウォルフとワン」
「女子のメダル3強」と言われる実力者、韓国の李は試合後、ユーモアたっぷりに取材に応じてくれた。「英語はできますか?」と聞くと、「ノー、ちょっと待って」とちゃんぽんで自ら控え室に走って日本語の通訳を探しに行った。
「きょうはとても運が良かったし、スタートから百㍍まではとてもよかった」と、38秒19にへの手ごたえを見せた。韓国女子では、トリノで5位が最高。今回は「私がメダルを取ることを期待しています」と力を込めた。韓国でスケート、といえば今や「キム・ヨナ」一色。かつては国のトレーニングセンターでも一緒に練習することはあり、仲も良かったそうだ。
「今では彼女が一身に注目を浴びていますけれど」と、茶目っ気たっぷりに笑った。
最後に「ライバルは?」と聞くと、「ウォルフ(ドイツ)とワン(中国)」と言い切った。聞いていたのは日本人記者2人だというのに「社交辞令」のひとつも言わない気の強さ。同国女子初の、スピードでのメダルの匂いがした。





