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「東京VはOB設立新会社が再建へ」-日本テレビ、東京VHDに全株を譲渡

9月 16 日, 2009 年, 10:03 pm

   J2の東京Vは16日、臨時株主総会を開き、日本テレビ放送網から、ヴェルディ出身のOBらによる「東京ヴェルディホールディングス、東京VHD」(7月7日設立、崔暢亮会長=さい・のぶあき本社東京都渋谷区、資本金2000万円)に30日付で全株を譲渡することを承認し、午後、正式に発表した。これにより、日本テレビが保有する全株式(約98.8%)が東京ヴェルディホールディングスに譲渡され(残り1.2%は日野、立川、多摩、稲城の自治体で保有)に譲渡され、Jリーグでは前例がなく初めての試みとなる「持ち株会社」に再建が委ねられる。 

  東京Vは経営状況が厳しく、毎年、20億円にものぼる赤字を日本テレビが補填する形で何とか継続してきた。しかし広告収入が激減した日本テレビにとってはこれが大きな負担になり、昨年秋から撤退を視野に、複数の会社と株式譲渡の交渉を水面下で進めていたが話しがまとまらず、今年に入って、クラブユース出身の崔氏らが「すでに事務局を立ち上げて活動をしてきたOB会として何か支えることができるのでは」と交渉に名乗りをあげた。 
東京Vは日本初の本格的クラブチーム「読売クラブ」として1969年に創部され、Jリーグには93年の発足時から参加。リーグ2度、天皇杯5度、ナビスコ杯3度の優勝を誇る名門クラブでもあり、日本サッカーの歴史を作る代表選手たちを輩出してきた。98年には、J発足から、その理念を巡ってJリーグ(当時)川淵三郎チェアマンと対立してきた読売新聞が経営から撤退。2001年に本拠地をJ発足時の川崎市から東京都に移したことで、サポーター離れが加速。「三位一体」が崩れ、一方で、クラブを支えた選手たちがクラブを離れる中、かつて、日本中が追いかけようとしていた「ヴェルディのサッカー」という財産も食いつぶしてきた。
  ホールディングスの崔会長は、クラブハウスで会見を行い、クラブハウス、グラウンド、職員、ホームで味の素スタジアムを使用することなど、基本的には選手も現在のまま引き継ぐとした上で、「私たちが育ったヴェルディのサッカーの質が失われて行くことが、OBとしてずっと歯がゆかった。もう一度、みんなが研究し、少しでも近づこうとしていたヴェルディのサッカーをゼロから再建したい」と意欲を見せた。「日テレベレーザ」はこのままチーム名を継続し(日テレが命名権を取得)、バレーボール、トライアスロンも存続する。
 崔氏は、ユース時代、都並氏らと同期で79年全国クラブユース選手権の優勝メンバーでもある。一方、ホールディングス側はすでにクラブの財務分析を終えており、「身の丈にあったクラブ経営をミニマムでしなくてはいけない」と、クラブ運営には危機感を抱き、今後運営費を大きく縮小する大手術を検討している。9月一杯で株の譲渡を終え、10月1日から社名を「日本テレビフットボールクラブ」を「東京ヴェルディ1969フットボールクラブ株式会社」として、チーム名はそのまま「東京ヴェルディ」とする。
  移行期間に、スポンサーなどと来季についての話し合いを行い、来季2月1日から新クラブとして本格始動する。ヴェルディが創設されたのは、1969年10月1日。くしくも全く同じ40年目の10月1日、新クラブとして生まれ変わることになる。

 (文=増島みどり)


   コラム 「40年の歴史に幕を降ろす訳」

   この日、午後6時半からクラブハウスで行われたヴェルディの囲み会見は、日本中のファンを魅了し続けたクラブがなぜ、こんな形である意味の「幕」を降ろさなくてはならなかったのかを象徴していたのではないか。
 旧フロント、小湊社長は、「ヴェルディが黒字になったことはなかった。リーマンショック以降だけに、企業に依存した体質のクラブはどうしても景気の動向に左右されてしまう」と、他人事のような発言をし、何を今更、と記者から質問されると、「横浜Fも消滅している。企業に頼るとこういう道は避けられない。もし日テレヴェルディならこうはならなかった」と、「Jリーグ」の理念そのものを、今だ理解しているとは言い難いコメントで、取材していた記者たちをあ然とさせた。
  横浜Fの場合、日本テレビとは違い、佐藤工業が倒産しての結果だ。もちろん、長年の赤字体質が現体制の全責任とは言えない。しかし、ホールディングスへの株譲渡に理由について、自分たちの経営失敗が一因でありながら「(ホールディングスの)志が高かったことに敬意を表したい」と、褒めたつもりだろうが、何ともちぐはぐな「上かから目線」のコメントをするなど、そもそも失敗の原因を理解しているとは思えなかった。10月1日以降も以降のサポートはするというが、親会社に戻る人物に漂っていたのは、無念さや愛情ゆえの落胆よりも、「やっとかたが付いた」という安堵感に見えた。

  ―地域密着から始めたいー 崔会長

  一方、ホールディングの崔会長は「何より歯がゆいと思っていたのは、ヴェルディのサッカーの質」とし、早くも地域との密着のために、小学校ひとつを丸ごと試合に招待するといった新たなホームタウンプランを検討していることも明かした。「サポーター、地域の皆さんと、支援してくださる皆さんとの話し合いから始めたい」とした。渡貫代表取締役社長は、小学生時代からヴェルディでサッカーをし、小崎貴紀取締役は、サッカー記者から四国アイランドリーグで常務理事COOを務めた。それぞれが、スポーツの理想は持っているだろう。
  「持ち株会社」には前例がなく、運営規模を収入に見合う10億円程度とするならば、今後のコストカットはかなり大胆なものになるはずだ。Jリーグは15日、2008年度の1部(J1)、2部(J2)全33クラブの経営情報を発表しており、経常赤字のクラブが前年度の7クラブから13クラブに増加したことを見ても、持ち株会社でどこまで、選手を補強し、再建を数字に表せるかは、長い目で見ることはもちろんだが、容易ではない。 しかし、「やるしかありません」と短くコメントした崔氏らには、少なくとも、スポーツの理想や夢はあるのだろう。ヴェルディのクラブスタッフは地域密着、ホームタウン理念を苦しい状況の中で何とか移転先で根付かせようと最大の努力をしてきたが、一方でクラブの大枠は、常に親会社に依存し、赤字を補填する形を変えようとはしなかった。
  Jリーグ発足時から、ヴェルディは違うスタート地点で走り始め、違うコースを走っていたのだとすれば、名門は、ある意味で、ようやくJリーグのレースを走り出した、といえるのかもしれない。 17日は、Jリーグがヴェルディへの支援策などを発表する。

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