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「サッカー日本代表 チリに4-0、18歳山田代表デビュー」コラム コメント

5月 27 日, 2009 年, 11:30 pm

 「山田は、歴代4番目の最年少でデビュー」

 6月のW杯アジア最終予選3試合で、4大会連続出場を狙う日本代表にとって、現在W杯南米予選3位の強豪で世界ランク26位のチリとの対戦は、重要なテストマッチとなった。
 DF闘莉王(浦和)が故障で合流できず、長友佑郁(FC)も虫垂炎で離脱する中、センターバックには阿部勇樹(浦和)、左サイドバックに今野泰幸(FC東京)が先発で起用された。また、海外組からは、25日に帰国したばかりのMF長谷部誠(ウォルフスブルク)、また、4カ月ぶりに代表に招集されたMF本田圭佑(VVVフェンロ)がスタメンで出場した。
 試合は前半20分、岡崎慎司(清水)が前線でボールをキープしてから後方にいた本田へパス。本田は利き足の左を力強く振りぬいて強烈なシュートを放ち、相手キーパーがこれをはじいたところに「こぼれ球を狙っていた」という岡崎が詰めて先制ゴールを奪った。また24分には、ディフェンスラインで本田が奪ったボールをダイレクトで中村憲剛(川崎)が前線へと抜けたDF中沢佑二(横浜M)へ。中澤のスルーパスに、DF2人の間を抜け出した岡崎が冷静にキーパーの動きを見ながら、4分で2点目、代表5ゴール目を決めた。
 後半に入っても流れは変わらず7分には、遠藤保仁(G大阪)からのCKを、阿部がニアでヘッディングに飛び3点目とし、試合を決めた。さらに、ロスタイムには本田がミドルシュートで4点目を決め、4-0と快勝した。
前半39分には、今回初招集でベンチスタートとなった注目の18歳・山田直輝(浦和)が、右足首を痛めている玉田圭司(名古屋)と交代し、代表にデビュー。序盤はパスが弱く、なかなか前を向いてプレーできなかったが、後半に入ると持ち味の運動量を活かして動きまわり、本田へのアシストを決めて代表初戦を飾った。18歳327日での国際Aマッチ出場は、98年フランスW杯前の市川大祐(清水)、小野伸二(ボーフム)らに次いで歴代4位の年少記録となる。

 
  岡崎 圭佑(本田)の(強烈なシュートなので)多分こぼれると思って狙っていた。体を張ってプレーするのが自分の特長で、きょうは先発できたのでさらに強くアピールしたいと思っていた。2点目は、相手が見ていなかったので、自分は後ろから飛び出していき、そのスピードに中澤さんがいいパスを出してくれてトラップも狙い通りできた結果。チリは本当にいいチームだったので、これに勝てて、点を奪えて自身になったし、W杯予選突破に弾みがつく1勝だった。

  山田 (日本代表は夢だったが)実感している暇なく試合に打ち込んでいました。(気がついたら終っていた、という感じですか)そういう感じでした。アシストは、僕と本田君と相手と2対1の数的優位の中で、より確率の高い方へパスをして、それを決めてもらったのでアシストになった。感謝しています。デビュー戦ということで、僕の試合じゃないのに、皆さんから、おめでとう、よかったな、と声をかけてもらってうれしかったです。岡田監督には、「良かったよ、お疲れさま」と行ってもらいました。(チリは)個々の能力は相当レベルが高いと思ってベンチから見ていたし、だから、個人じゃなくて、チームで勝負するのがいいと思って入った。

  本田 点を取ることができて結果につながった。(1点目は)本来は直接決めたかったが(岡崎が)よく追いついてくれた。オレは、打てば入ると知った一年だった。名古屋のときは入るのに打たなかった。(中村俊輔とのポジションは)かぶるけれど、実績も信頼もまるで違う。今、自分に求められているのは結果を出し続けることだけだと思う。

  香川(27日の午前中に合流して試合に出場) 自分でもまさか出るとは思わなかったけれど、一応、準備しておけと言われたのでアップはしていた。38度の発熱は自分の責任なので、それは結果を出してお返しするしかない。山田君はデビューでアシストもするなんてすごい。

  長谷部 アジアのチームと比べても、レベルの高いチームだった。チームは分かりやすくてシンプルなコンセプトに一丸で向っている。前からプレッシャーをかけて常に動く。やることははっきりしている。きょうはこれまで試合に出ていない人も表現(アピール)できたことが大きい。
 (文=増島みどり)


        「代表にスイッチオン!」

 玉田が足首を痛めたために急きょ交代した山田だったが、「アップは試合前に十分していたし、慌てることはありませんでした」と冷静だった。そんな自己分析同様、戦況分析も冷静だった。ベンチから見ていた現在W杯南米予選3位のチリは、主力が不在とはいえ、個々の能力では「相当高いレベルだと思ったので、チームで勝負するんだ」と、自分がピッチに立ったときのこともちゃんと頭に描いていたようだ。
初めて代表に出るような状況で、誰もが口にする「自分をアピールしたかった」といったコメントを山田はしない。自分よりもチームを最大限に活かすためにどういうプレーを選択するか。この選択の正しさ、クレバーさが、身長166㌢と小柄でキャリアの浅い18歳を支える柱である。
夢だった日本代表戦に出場したことについて、「(夢の初出場だと)実感するひまもないほど、試合に打ち込んだ。気がついたら終っていた感じでした」と話す。「打ち込んだ」と、飾りのない、心から発したコメントに新鮮さがにじむ。

 サッカー協会の犬飼会長が「(山田は)自分の身の置き場を探しているようだったね」と表現したように、前半39分、代表ピッチに初めて立ってからしばらくは、左サイドとしての指示もあり、ポジションもバランスを取ることに終始。なかなか前を向くことができなかった。しかし、チームメイトたちから「前向けよ」「思い切り行け」との声が耳に届く。後半に入るとDFラインから最前線まで走り回り、ボールを離せばすぐに走り出してまたボール周りに顔を出す、そんなフリーランニングを繰り返した。山田は、後半に入って本来ならば右肩下がりになるはずのチーム全体の運動量を、逆に右肩上がりに変えて行った。
 後半には、岡崎への「ハットトリック」となるような絶妙のクロスを左サイドで2人をかわして入れ(岡崎のヘッディング入らず)、ロスタイムには、本田へのアシストを「数的優位を見て、より確実な(角度の)ほうにパスをした」と、この場面でも冷静さは欠いていなかった。

 岡田武史監督は、山田を初招集した理由について「チームが山田の運動量で引っ張られるというか、全体のスイッチ役になってくれる動きをする」と説明していた。この日、まだまだ歩き出したばかりの「代表」だが、ピッチで一時も休むことのない姿は、6月、予選突破に挑む日本代表に「スイッチオン」をする、そんな役割を果たしたのかもしれない。ロスタイムにも、20歳の香川慎司が起点になり、矢野貴章が相手の激しいタックルを受けながらも転倒せずに「潰れ役」となって山田へ。香川、山田、矢野、本田、と、これから代表での地位を築こうという若く、新しい選手たちがロスタイムで見せたゴールは、予選だけではなく、南アフリカでの可能性、1年でどこまで「化ける」か、それらを想像させる「未来形ゴール」となった。
 犬飼会長は「とにかく層が一段厚くなった気がしたゲーム。怪我人が出てももう驚かなくて済む」と、新しい力、激化する競争への期待を口にした。

 強く早く、安定したパスでチームをけん引し、圧倒的な存在感を見せた長谷部は、「18歳でいい経験ということだけではなくて、アシストで結果も出した。頑張って欲しい」と話し、遠藤も「羨ましい経験をしている。相手の嫌なところに走っていくのは本当に素晴らしい特長」と絶賛する。
 もっとも、山田自身は、「きょうがたまたま良かっただけ。改善点はいっぱいある」と浮かれることはない。サッカーを始めたときから変わることなく抱き続けているW杯出場への思いも、この試合で変わらなかったという。
 「けど・・・」
 山田はまたシャイな笑顔を見せた。
「けど、これで少し現実に近ずいたのかな、と、少なからず感じています」
 スペイン、ブラジル、アルゼンチンとやりたい、と夢はアウトラインは固まっている。
 ミックスゾーンでの取材中、話をしている山田の後ろを、31歳の中澤が通過した。
 「おつかれさん!」と中澤がおどけて山田の頭をたたくと、山田は中澤の方を向き直って一礼した。
 「お疲れさまでした」
 使いべりしそうにない力強いスイッチが、代表にどんな「光」を灯すだろう。

(チリ戦先発メンバー)
GK 1 楢崎正剛
DF 22 中澤佑二(Cap)、3 駒野友一、20 今野泰幸
MF 14 中村憲剛→25 香川真司(後半38分)、7 遠藤保仁→27 橋本英郎(後半16分)、17 長谷部誠→5 山口智(後半33分) 19 本田圭佑、2 阿部勇樹
FW 11 玉田圭司→24 山田直輝(前半39分、玉田足首負傷)、9 岡崎慎司→12 矢野貴章(後半26分)

ベンチいり 18 都築龍太、23 川島永嗣、6 内田篤人、21 槙野智章、16 大久保嘉人、13 興梠慎三

 (文=増島みどり)

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