コラム 「Merry X’mas」
今ごろ、最終で帰宅するサンタさんたちは大慌てで働きまわっているはずである。
先日、取材の待ち時間に雑談をした。みんな敏腕記者だけれど、優しいパパでもある。この季節、ただでも仕事が忙しい中、どうやって子供たちの「サンタ」になるのかちょっと聞きたくてインタビューした。3歳未満なら「お父さんもやりたい放題」だそうだ。まだ分からないから、何の疑念もたない。ところが、小学校中学年くらいからなかなか難しい。ある記者は、「今年は分からせなくてはいけないんです」と、サンタの正体を明かそうと奥さんと相談しているという。明かす、といっても、言葉でいうのではなくて、欲しいものをリクエストしても、それは届かない、そういう厳しい現実を教えるために「今年のプレゼントは辞書の予定です」というからみんなで笑った。
彼女はパズルが欲しいらしいのだが、なかなか具体的に言わない。ようやく奥さんが聞き出すと、「あのお店にしか売ってなくて、入って左の棚にある」と言ったそうだから、子供たちのほうだって「サンタ」に色々と気を使っているのだ。入って左にある、って・・・(笑)。
欲しいものを正確に調達できるか、サンタにとって取材力も問われるところだ。別の記者は、子供に「おとうさんの会社にはこの季節になると、サンタポストが設置されるから、お前たちが好きなものを書いた手紙をお父さんに預けてくれれば、投函しておくよ」という、なかなか手の込んだ作戦を遂行するそうである。サンタさんへ、と書かれた手紙を預かり、これを読むわけだから情報集めは完璧である。
枕元のプレゼントを見て「サンタさん、ありがとううう!!」と、朝、窓をあけて叫んでいる、というお嬢さんの話も聞かせてもらった。聞くだけで楽しいクリスマスである。パパ・サンタ、がんばれ!。
さて、サンタを卒業した子供たちと若い女性たちにとって、クリスマスに行きたい場所、というアンケートによれば、大人気は「ディズニーランド」のようである。
「行ったことがないんだ」と私がつぶやくと、必ず「ウソでしょう」と思い切り笑われるけれど、私の周囲にいる男性は誰一人、私を「今度の休み、一緒に行こうか」とは誘ってくれなかった。そもそも休みがなかったような気もするが。たった一度、陸上棒高飛びの世界記録保持者・セルゲイ・ブブカが、旧ソ連の崩壊後「是非行きたい」と日本の国際試合で口にし、取材のために一緒に行ったことはある。しかしその際も、中での撮影禁止で、ずっと外で待っていたのを覚えている。
とにかく縁がなかった場所だが、先日、初めてチケットを購入することになった。現地で並ばずとも、都心のショップで買えるのもちょっと驚いたが、夜だというのに行列している。それも、若い男性たちで一杯だった。みんなガールフレンドをクリスマスに連れて行くために準備しているだろうな。前にいた男の子とおしゃべりした。
「誰と行くかはまだ決まっていないけれど、とりあえず、12月のチケットを持っていることが大事なんですよ」とのことである。大変なんだねえ、と感心してしまった。
私は、幼稚園に通う女の子への小さなお見舞いにしようと思っていた。仕事でお世話になっている方のお嬢さんが、まだ小さいのに入院し、大変な手術を受けることになったと聞いた。友人たちに「お見舞いは何がいいだろう」と聞くと、ディズニーはどう?とたくさんのアドバイスを受け、行ったことがないくせに決めた。前にいた男の子も「それが案外楽しいんですよ。いい歳した男連中がはしゃぎますからね」と、賛同してくれた。
先日、無事に手術が成功し、お嬢さんは元気に退院してもう幼稚園に戻ったと連絡をもらった。自分は行ったことさえないのに、彼女がもう病気をいっさい気にせず、元気に遊園地を走り回る様子を聞くのが、とても待ち遠しい。
サッカー界は、クリスマスの25日、天皇杯が行われる。G大阪対名古屋の一戦、前泊だからきっとイブにも家族と自宅にはいられなかっただろう。ピッチで「戦うサンタクロース」たちに、どうか良いクリスマスを。
文・増島みどり
東京中日スポーツ、連載コラム「セブンデイズ」12月8日に加筆して





