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「みんなのスポーツ」四国・九州アイランドリーグ・愛媛MP、炎天下の猛攻。香川OGを下す

7月 25 日, 2010 年, 10:43 am

四国・九州アイランドリーグ2010 後期公式戦
2010.7.24. 愛媛マンダリンパイレーツ 13‐4 香川オリーブガイナーズ 2回戦 <新居浜市営球場> 観衆408人

香川OG 010 030 000|4
愛媛MP 003 004 06×|13

勝 入野貴大 2勝3敗1S
負 高尾健太 9勝5敗

バッテリー
香川OG 高尾、西村、上野、大場 ‐ 藤嶋、西森
愛媛MP 入野、赤嶺 ‐ 靍岡、松原

本塁打
香川OG 洋輔4号ソロ(5回、入野)
愛媛MP 高田泰輔4号3ラン(3回、高尾)、5号3ラン(8回、大場)

 首位・香川オリーブガイナーズをホームに迎え、3位・愛媛マンダリンパイレーツが3連戦を行う。23日に西条市東予運動公園で行われたナイトゲームでの1回戦は、4点のリードをひっくり返された愛媛MPが4対10と大差で敗れた。2回戦は24日、新居浜市営球場に場所を移し、真夏の太陽がギラギラと照りつけるなかデーゲームで行われた。
 立ち上がりを三者凡退で切り抜けた愛媛MPの先発・入野貴大(21歳)だったが、2回表、2本の長短打で一死一、三塁のピンチを迎えると、一塁への牽制悪送球で1点を失った。
 しかし3回裏二死、愛媛MPは香川OG先発・高尾健太(22歳)から連打でチャンスを作ると、二番・高田泰輔(21歳)がセンターバックスクリーンへの4号3ランを放ち逆転に成功、逆に2点のリードを奪った。
 走者を背負いながらも粘りの投球を見せる入野だったが5回表、先頭の八番・洋輔(近藤洋輔、28歳)に4号左翼越えソロを浴び1点差に。動揺の見える入野は制球を乱し、一死満塁から三番・大松陽平(19歳)に押し出し四球を与え同点とされる。さらに四番・中村真崇(26歳)に右犠飛を許しこの回3失点、3対4と逆転を許した。
 1点をリードされた愛媛MPは6回裏に反撃に出る。無死三塁から三番・武田陽介(25歳)の中前テキサス安打で4対4の同点に追い着くと、さらに一死満塁として七番・小野真悟(26歳)が右翼手の頭上を越える二塁打を放ち2点を追加、高尾をKOした。さらに1点を加えてこの回4点を奪い、7対4と再び3点のリードを築いた。
 立ち直った入野は6、7回を無得点に抑え、試合の流れを香川OGに渡さない。すると8回裏、八番・増田康弘(23歳)が左中間へ2点適時二塁打、二番・高田の今日2本目となる左翼越え3ランなどでさらに6点を挙げ、試合を決定付けた。8回表からマウンドに登った赤嶺祥悟(23歳)が2イニングを打者3人ずつできっちりと抑え、愛媛MPが13対4で勝利して昨夜の雪辱を果たした。
 この結果、愛媛MPは勝率を5割に戻し、首位との差を1.5ゲームに縮めている。香川OGは後期4試合目にして初黒星となった。3連戦最後となる3回戦は25日、宇和島市営丸山球場において13時プレーボールで行われる。

『「それは気持ちが守りに入ってるやろ!」』

 味方のミスが絡み1失点、愛媛MP先発の入野貴大(21歳)は4回を投げ終え、まずまずの投球を続けていた。流れが変わったのは5回表である。先頭の八番・洋輔(近藤洋輔、28歳)に左翼へソロ本塁打を運ばれ1点差に詰め寄られた。実はこの辺りから初回の攻撃で足に打球を受けた痛みが少し気になり始めている。右足のスネの辺りが赤く腫れ上がっていた。
 ケガのことは言い訳にしたくなかったが、それ以上に痛かったのは決め球であるフォークボールの調子がいまひとつだったことである。追い込んでからのフォークがうまく落ちず、空振りが奪えない。2回裏、四番・中村真崇(26歳)をワンボールツーストライクと追い込みながら、あえてスライダーで勝負に行き、うまく左に引っ張られた。この二塁打を香川OGの先制点につなげられてしまった。
 5回表の本塁打のあと、満塁からの押し出し四球、さらに四番・中村の右犠飛により3点を奪われ逆転を許している。6回のマウンドを前に、ダッグアウトで必死に気持ちを切り替えようとしていた。思い出していた言葉がある。2日前、球団スタッフである福西太志さんと話したときの会話だった。
 05年の四国アイランドリーグ(当時)創設から初代主将として4年間プレーし、09年には新潟アルビレックス(BCリーグ)に移籍、この春からはユニフォームを脱いで愛媛MPの球団職員として裏方に回っている。今日の試合でも炎天下のなかマスコットキャラクターの着ぐるみに入って試合を盛り上げるなど、忙しく動き回っていた。
 2日前の木曜日の夜、宇和島市で行われたイベント『宇和島ガイヤカーニバル』に選手たちが参加したときの食事会で、久し振りに入野とゆっくり言葉を交わす機会があった。今季これまで18試合に登板している。前期はセットアッパーとして1、2イニングを全力投球で凌ぎ、クローザーに試合の締めを任せる役割が多かった。だがここに来て9名いる投手陣のうち、故障などから使える投手が6人しか残っていない。先週の4連戦のあと3日空けてまた3連戦と、厳しい日程が続いている。入野も先発に回って長いイニングを任されており、ここまで3試合に先発しながらなかなか本来の投球ができずにいた。福西さんもそのことが気になっている。
「『土曜日に先発します』って言うんですよ。リリーフではいいピッチングするのに、先発で結果出してなかったんで、先発のときどんなこと考えてる? って聞いたんです。そしたら、『1イニングずつ三者凡退で抑えようと思ってます』って言うから、それは気持ちが守りに入ってるやろ! って言ったんです」
 話を聞いて合点がいった。攻めてるように見えて、実は攻めていない。「抑えなければいけない!」と自分自身に課すプレッシャーが、気持ちを守りに入らせてしまう。リリーフのときなら100㌫の力で相手打者に向かって行ってもいい。しかし、先発投手がそんな気持ちで長いイニングを投げたところで、絶対にもつ訳がない。
「一番から九番までいるんだから、そのバッターの苦手なコースは頭に入ってるだろ? ここに投げときゃある程度は抑えられるってところがある。クリーンナップには10の力を出しても、八、九番なんかは見下すくらいの力でいいんだ」
 長い試合のなかでは山も谷もある。初めから最後まで全力で飛ばそうとするのではなく、攻めるところは攻めて、抜くところは抜く。そこを伝えたかった。
 リリーフとしての投球ではなく、先発投手としての投球をする。6回が始まる前のグラウンド整備が終るのを、福西さんの言葉を思い出しながら待っていた。5回の失点は気持ちのなかでなんとか切り替えられている。
「もう1回ここから入れ直そ! と思ってました」
 フォークは使えないがツーシームの制球力はいい。右打者には内角へ食い込んでつまらせ、左打者の外角へのボールは逃げて行く。厳しいコースに最後までツーシームを投げ続けられたことが6、7回をしっかり無失点で乗り切ったことにつながっている。123球を投げ4失点、自責1。先発として初の勝ち星を挙げ2勝目を手にした。
「そんなに納得はいってないですけど。逆転されてしまったので。ホームラン打たれたあとのバッターにやられたので…。ピッチャー陣、ケガ人も出てて少ない状態なんですけど、いつでもどこでも投げられるという気持ちで行きたいと思います」
 チームとしては苦しい状況だが、そこにはチャンスもたくさん転がっている。どこでも投げられるという強い気持ちの裏に、マウンドでの冷静な計算が身に付き始めている。
 防御率は試合前の2.39から2.25にまで上がった。リーグ6位、もちろんチームトップの成績である。

入野貴大(いりの・たかひろ)
愛媛マンダリンパイレーツ、投手、21歳、高知県出身、右投左打、178㌢、74㌔、A型、岡豊高→プロ育成野球専門学院→愛媛MP(08~)
(取材・文=高田博史)

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